Log
 

 最近再び黄金比という言葉を耳にする機会が増えてきてます。話題の「ダビンチコード」はもとより、多くの書籍、雑誌、TV番組(たまたま通りすがった高校数学の教育番組でも取り上げていたり、古代遺跡の紹介番組などでも必ず登場)。面白いものでは、MacBookのモニター解像度が16:9ではなく16:10に統一された話題で、黄金比1.618寄りにしているという事です(appleってほんとに面白い会社です)。
 そういった感じで「黄金比」についてそこここで説明をされる訳ですが、正直のところ雲をつかむ様な感覚が終始つきまとい、わかった様なわからない様な、といった気分ををどうしても抜け出せないでいました。書籍「黄金比はすべてを美しくするか」で一番興味深く思った部分は、「黄金比」に対する極度な信仰心へ対する疑問符の部分でした。あまりにも「黄金比」伝説が神聖視されるあまり、何でもかんでもこの比率に当てはめてしまい、いわば「美」という物を機械的な尺度で自動的に判定しようとする野望、おなじみの西洋式短絡思考に陥っている事への注意喚起です。例えば、よく言われるパルテノン神殿の黄金比説に対し、長方形の当てはめ方によってどうにでも再解釈できる事をあげています。この辺りなど、少年の頃によく目にした、ピラミッドやエジプト遺跡に秘められた幾何学構造の秘密発見!みたいな眉唾大衆エンタメとの類似が想起されます。
 もう一つの混乱要因としては、「もしかしたら黄金比には本当に深い意味があるのかも。」と仮定して、「では黄金比の本質とは?」「結局の所黄金比のコアイメージ(昨今流行のことばですか・)とはなんじゃら?」という所が見えない、という部分があります。長方形が無限に入れ子状になる図解、フィボナッチ数列や級数からの数学的なもの、美術品や建築物からの図解、やれダビンチだコルビジェだ系の解説、正五角形/五芒星からのアプローチそして神秘主義または天文系へ、「自然の中にこそ黄金比が秘められているのだ:蜂の巣やらヒマワリやら」ナチュラリスト/天の思し召し系・・玉石混淆カオス状態なので、結局は煙に巻かれてしまいます。こういう状態がどうにも気になって仕方がない性分なので、一番基本的な部分を押さえたい、単純に簡単に把握したい、という願望がいや増すばかり。
 しかし正直、いまだに何ともすっきりしない、というのが正直なところです。一番簡単な形で黄金比が現れてくる幾何学的な単位をイメージできさえすればかなり見通しがすっきりするのかなー、と言う風には考えています。数式をいじくるアプローチもありますが、幾何学的な把握が僕にとっては”理解!”と言う感覚により近い様に感じるのです。そして、あれこれと黄金比に関する説明を眺め、これがコアに近いんじゃないかな、と感じた物、 もっとも単純明快にすっきりと美しく黄金比を表現する単位は三角形でした。 黄金グノモンと呼ばれる物です。なにやらスーパーナチュラル系の悪臭を嗅ぎ取ってここで逃げていく方も居るかと思われますので、呼び名など忘れてください。

 なぜ五芒星に黄金比が現れるかという問題は、この三角形の性質からくる付随的な問題である事がすぐにわかると思います。また、これだったら例の連続に入れ子状をした長方形による説明とあまり変わらんではないか?と思うかもしれませんが、否です。あの説明ではまだまだるっこしい、視覚的に余計な要素が多い、見通しが悪いです。また x^2-x-1=0 の解に関する事もこの三角形の性質から自然に現れてくる付随的な結果にすぎない事がわかると思います。同様に、黄金比がフィボナッチ数列の中に現れてくるというのも付随的な事となります(ただし級数の概念は三角形の概念と同等なくらいシンプルで基本的な物なので、鶏と卵の関係のような気もしてきますが・・)。

simple minds[黄金伝説 81-82-83-84]

 
CopyRight:OfficePart2(Carbondice) since2005:: part2>:: contact>