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本章で使用する長さスケール

・1AU
・1光秒
・1光年
・1光秒/1mm
・1光年/1mm
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1. 光秒

 前章では、大きな時間という物を調べてみました。
この章では再び”距離”の世界の探索へと戻ります。
[距離]の章で見たように、やみくもに徒歩スピードで進んだ場合には、太陽系のサイズを探るあたりから、地質学的なスケールの時間、というレベルの話になってきてしまいました。
一方、[時間]の章では、最終的に宇宙の年齢をイメージするところまで探査を進める事ができましたが、その際、時間と距離の置き換えを行ったのでした。

 ここからは、無鉄砲に直接歩くというマッチョな突撃行為ではなく、[時間]の章で行ったのと同様な単位置き換えを使ってみます。
太陽系の探険、さらにはそれを超えた宇宙探険を行うために、光の進む距離、というかなり大きな尺度を基本単位にすることにします。
まずは、1秒間に光が進む距離、1光秒と呼ぶ事にします。どんな感じの距離でしょうか。

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 光速は 299 792 . 458km/秒 です。
1秒で地球約7周半、という有名な覚え方がありますが、上のFLASHの様な感じですね。
地球1周の大きさは、すでに[距離]の章で歩いていますので、もう体で把握されていると思います(?)。
ですので、地球7周半を1秒間で進む速さのでかさも、そこからイメージを膨らませて把握する事ができますよね。・・・なんとかなりませんかね・・
1光秒の距離を歩いてみると、

1光秒は、徒歩で8年200日。

地球一周は徒歩で1年と52日でした。1光秒は地球7周半なので、まあこんな感じですね。

では、この光の速さを用いて、太陽系を調べてみます。
[距離]の章では、太陽系を大雑把にイメージするのにAUという単位を扱いました。
1AUは徒歩で4266年、太陽系の30AUが徒歩で12.8万年という無茶な結果となっておりました。
その1AU、徒歩速度ではなく光速だとどれくらいかかるのか。
地球の公転半径の平均値すなわち1AU = 149 597 870km
光速で 499.005秒 すなわち8分19秒ほど となります。

1AUは、徒歩で4266年。
1AUは、光速で8分19秒。

 ちょっと細かい話になりますが、この計算は、太陽の中心から地球の中心までの距離で計算している訳です。
光は太陽表面からくるので、太陽の半径分を差し引いた方がいいんではないか?
「太陽の半径の距離なんて、光速に比べれば誤差誤差。」と早とちりしたあなた、下のFLASHをご覧ください。

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 太陽は地球に比べてばかでかいので、1秒で地球を7回転半できる光速でも、太陽を1周するには14.6秒ほどもかかってしまいます!
こうなると誤差でも何でもなく、考慮すべき重大な値です。
ところで、話はそれますが、ここで急に気になり始めるのが”光速”というやつそのものです。
光速ってやつが、思ってたほど速くない、むしろすごい遅い!
そこそこありきたりな恒星ひとつ横切るのにもこんなに時間かかるの?
こんな物が全宇宙最速でいいんだろうか?と心もとなく思ってしまうほどです。
ワープワン(エンタープライズ号のスピードの単位)って思ってたよりものろのろです。
そして、この程度の速度が相対性理論の効果の世界をつかさどっているのです。
重力レンズもブラックホールも、突然ものすごく身近でリアルな感じがしてきます、ズキューンと。
少なくとも、私にとっては世界の見え方がひっくり返るほどの宇宙観のイメチェンでした。
そして、この遅さ、思いのほか身近な感じが逆に幸いし、宇宙規模の世界観におけるスピードや距離をイメージしていくための予想外の道具になってくれます。
光の速度はけっこうイメージしやすいのです!なんと!!。

ちなみに、先ほどの太陽1周の計算では、太陽の直径 1 392 020km という値を用いて 14.59秒 と計算したのですが、この太陽の大きさの値は、先日の金環日食時に起きた”ベイリービース”という現象の観測と、日本の月探査衛星”かぐや”のもたらした月面の正確な凸凹データによって精度が更新された物です。

太陽1周は、光速で14.6秒。

光は、思ったほど速くない!ワープワンって結構のろい!

 さて、光の速度をイメージできたでしょうか?
では次のステップとして、1光秒/1mm という物差しを設定します。
先ほど眺めた、1秒間に光が進む距離、それを1mmに押し込めます。
この物差しを用いれば、太陽系の各惑星までの距離が手頃な感じの値として把握できるようになってきます。
惑星間の距離は、相対的な感じの表現や図版などが山ほどありますが、今回のこの方法は絶対値に基づいていて、本当のところ実際の距離はどれくらいなんだ?という知的渇望に答えてくれます。
1光秒のイメージを1mmに対応させる事ができれば(・・まあここが無理難題の山なんですけども・・)、相対関係ではなく実距離が把握、実感できるはずです!

(そして実は、1光秒/mm 導入のほんとの理由は、後ほど必要に迫られるはめになってくる1光年の大きさをイメージするためのしこみ、苦肉の策であるということなのです・・)

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太陽系探険のための物差し : 1光秒/1mm

それでは下図をご覧ください。

pic01 冥王星まで20m弱ですね。
こういう感じの、例えば今回のような光秒といった現実の距離を用いたスケールを基準としてきちんとイメージ化した太陽系の説明は、他にもどこかで誰かがやっていそうな気もするのですが、今のところ私は見つけた事がないです(私が知らないだけかもしれませんね・・)。
相対的な距離の比を表現している物はたくさんありますが。
手前味噌ですが、そういう意味で上の図はなかなかいい感じのイメージだと思います。
すべては、1光秒/1mm という大きさ感覚がつかめているかどうかにかかってきてしまうんですが・・

 
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